2026/07/14 16:33
約18年前。
まだ nanaladesign という名前もありませんでした。
当時の僕は革職人ではなく、革が好きで、趣味として財布や革小物を作っていました。
平日は仕事をして、空いた時間に革を触る。
週末になるとスケートボードを持って街へ出る。
そんな毎日でした。
夜の運動公園。
ネオンが灯る街並み。
大きな道路沿いを、仲間と何時間もプッシュする。
できないトリックに何度も挑戦する日もあれば、何も考えず街を流す日もある。
滑り終えたその足でクラブへ向かい、朝まで過ごすこともありました。
あの頃の熱気や、街に漂うタバコの匂いは、今でも不思議なくらい鮮明に思い出せます。
当時の自分を一言で表すなら、
「がむしゃら」。
その言葉が一番しっくりきます。
当時、財布に求めていたことはとてもシンプルでした。
生活を邪魔しないこと。
長財布はポケットから飛び出す。
座れば傷が付く。
落としてしまう心配もある。
二つ折り財布は厚くなる。
アスファルトやデッキに座ると膨らみが気になる。
カードも割れやすい。
そんな毎日の中では、どちらも自分の生活には馴染みませんでした。
だから自然と、一つの形に辿り着きます。
ミディアムトラッカーウォレット。
好きだったから選んだわけではありません。
その頃の自分にとって、一番自然な形だった。
ただ、それだけでした。
最初に考えたのは、
どうすれば便利になるかではありません。
どうすれば、持っていることを忘れられるか。
必要最低限を、
必要最小限でまとめる。
生活のリズムを崩さず、
滑る時も、
歩く時も、
座る時も、
その存在を意識しなくていい。
そんな財布を作りたいと思っていました。
でも、それだけでは終わりたくありませんでした。
財布は、お金を入れる道具ではなく、
自分らしさを表現する、小さな箱庭。
だから次に考えたのは、
どうすれば nanaladesignらしさ を形にできるのか。
まだブランド名も無い頃から、
その答えだけを探していました。
試行錯誤を繰り返す中で辿り着いたのが、
今もブランドの象徴になっているスタンピングでした。
アメリカンクラフトでもない。
古典的なスタンピングでもない。
組み合わせ次第で、
いくらでも新しい表情が生まれる。
誰かを真似するのではなく、
自分だけの空気を作れる。
「これなら、自分を表現できる。」
初めてそう思えた瞬間でした。
ある日。
何度も通っていたお気に入りのアパレルショップで買い物をしていた時のことです。
会計の途中、
店員さんが財布を見て言いました。
「その財布、どこのですか?」
「自分で作ったんですよ。」
そう答えると、
少し驚いた表情で返ってきた言葉は、
「え、本当ですか?」
「めちゃくちゃかっこいいですね。」
さらに続けて、
「ぜひ、うちで取り扱わせてください。」
当時はブランドでも何でもありません。
好きで作っていただけ。
そう伝えても、
返ってきた言葉は変わりませんでした。
「ブランド名を付けてでも、扱いたいです。」
その一言がきっかけで、
"nanaladesign"
という名前が生まれます。
まだ趣味の延長。
でも、
誰かの「好き」が、
初めて自分のものづくりを前へ進めてくれた瞬間でした。
その数年後。
東京のショップとの出会いをきっかけに、
趣味だったものづくりを、
仕事として歩んでいくことを決めます。
開業届を提出し、
nanaladesign は正式にスタートしました。
あれから16年。
作るものも、
考え方も、
表現の仕方も、
少しずつ変わりました。
でも、一つだけ変わらなかったことがあります。
「nanaladesignらしさを証明する。」
その考えだけは、
あの頃から今まで、
ずっと変わりません。
To Be Continued.
