2026/07/15 20:06


第1話では、ブランドが生まれた日を書きました。

今回は、そのもっと前。

僕が16年間、一度も変えなかったサイズの話です。

当時欲しかったのは、小さい財布ではありませんでした。

長財布でもない。

二つ折り財布でもない。

欲しかったのは、

「生活を邪魔しない財布。」

それだけでした。

長財布はポケットから飛び出す。

二つ折り財布は厚みが出る。

だったら、どんなサイズなら生活の中に自然と馴染むんだろう。

そこから答え探しが始まりました。

デニム。

ペインターパンツ。

ワークパンツ。

履くパンツを変えながら、

何度もポケットへ入れる。

歩く。

座る。

スケートボードをする。

バイクへ乗る。

また取り出す。

その繰り返しでした。

小さければ良いわけではありません。

小さすぎると、ポケットの中で回転する。

深いポケットほど取り出しづらくなる。

逆に大きすぎれば、存在感が大きくなりすぎる。

だから何度も作っては試し、

また作る。

そんなことを繰り返していました。

そして最後に残った長さが、

15cm。

この数字だけは、16年前から一度も変えていません。

15cmより短くすると制約が増える。

長くするとロングウォレットとの境界が曖昧になる。

だから自然と、この長さだけが残りました。

でも、高さだけはHALOを作る時にもう一度向き合いました。

カードを収める。

開く。

閉じる。

ポケットへ戻す。

また取り出す。

その一つひとつを、何度も繰り返しました。

少し高さを変えるだけで、

見え方が変わる。

持ち心地が変わる。

ポケットへの収まりも変わる。

何度も試して、

ようやく「これだ」と思えるサイズに辿り着きました。

その時、ふと思いました。

「この数字には、何か理由があるんだろうか。」

必要なサイズを追いかけていくと、

不思議なことに、その数字は黄金比に近付いていました。

狙ったわけではありません。

ただ、必要だと思うことを積み重ねていった結果でした。

偶然だったのか。

必然だったのか。

今でも分かりません。

でも、少しだけ嬉しかったことは覚えています。

何度も持ち直し、

何度もポケットへ入れる。

カードを入れ、

小銭を入れ、

お札を折って収める。

また取り出して、

また持つ。

その繰り返しの中で、

思わず小さく、

「よし。」

と呟いたのを今でも覚えています。

誰もいない工房で、

一人だけの答え合わせでした。

16年前。

理由なんて説明できませんでした。

ただ、

「このサイズがいい。」

そう思っただけでした。

16年経った今、

ようやく、

あの感覚を言葉にできるようになりました。

でも、

サイズだけではHALOにはなりませんでした。

どれだけしっくりくるサイズでも、

それだけでは、nanaladesignらしさにはならなかった。

最後まで悩んだのは、

この財布に、

どうやって自分らしさを宿すか。

その答えが、

HALOの"顔"になっていきます。


To Be Continued.